松(マツ)はマツ科の針葉樹で、古来、日本では節操・長寿を象徴する木と尊ばれ、門松の風習があります。また松竹梅の筆頭であり縁起の良い樹木とされています。
木材となる松(マツ)にはマツ属の赤松(アカマツ)、メルクシパイン、レッドパイン(欧州赤松)、カラマツ属の唐松(カラマツ)、トガサワラ属の米松(ベイマツ)などがあります。
科目 | マツ科カラマツ属の落葉針葉樹 |
---|---|
産地 | 本州中部から北部に至る |
色調 | 辺材は白色、心材は褐色。 |
性質 | 重硬で、耐久性、耐湿性に優れるが、割れやすい。 脂気が多い。色の変化が激しい。樹皮はタンニンを含む。 |
用途 | 家屋の土台や電柱・鉄道枕木・屋根板・船舶。 |
唐松(カラマツ)は、日本の固有種であり、日本に生息する針葉樹の中で唯一の落葉針葉樹です。晩秋に落葉するので「落葉松(ラクヨウショウ)」とも呼ばれます。
根付きやすく生長が速いので、戦後の植林で重要な種として用いられ、北海道や長野県などでは唐松(カラマツ)が植林され、特に長野県では植林面積の約50%が唐松林となりました。
有名な「尾瀬の木道」のほとんどは唐松(カラマツ)材を利用しています。
唐松(カラマツ)の若い木はねじれや節などの欠点が多いですが、水湿に耐えられてかつ耐不朽性があり強度があるので、よく杭などに使われています。また、天然林の年数を経て生長がおとなしくなった唐松(カラマツ)は、逆に銘木として高く評価されています。
唐松(カラマツ)は、油脂が多く含まれるといった特徴から、対候性が求められる場合に多く使用されます。土木工事に使われる杭や土留め板に多く使われていました。
最近ではピンク色の木肌の美しさが注目され、内装材としての需要も増えてきました。しかし色の変化が著しく、樹脂が表面に浮き出てくる可能性があるため、表面塗装などに注意が必要とされます。
科目 | マツ科マツ属の常緑針葉樹 |
---|---|
産地 | 日本(北海道、沖縄を除く)、朝鮮 |
色調 | 辺心材の境界はやや不明瞭で辺材は淡い黄白色。心材は黄色帯びた黄褐色。 |
性質 | 木質は密で堅さは中くらい。加工は容易で狂いはややあるが、水湿に強く耐久性に富む。 |
用途 | 建築材、造作材、土木材、船舶材、パルプ原料、杭木など。 |
赤松(アカマツ)は、痩せた土地でも育つので、目に触れる機会の多い木です。文字通り樹皮が赤いので赤松(アカマツ)と呼ばれます。
黒松(クロマツ)と比べ、枝葉の様子が優しい印象があることから、別名「女松(オンナマツ/メマツ)」と呼ばれます。
木材としての利用以外にも盆栽としてもよく利用されています。
赤松(アカマツ)はヤニがでやすく、やや狂いが生じやすいので利用しにくい面もありますが、比較的安価で買うことができます。
科目 | マツ科トガサワラ属の常緑針葉樹 |
---|---|
産地 | カナダ、アメリカ合衆国本土にかけての、北米大陸太平洋岸 |
色調 | 辺心材は淡黄色ないし赤褐色、年輪がはっきりしています。 |
性質 | 適度な硬さを有しており、加工性・耐久性に優れる、木目が美しいです。長大材を生産可能です 。 |
用途 | 柱や梁、構造材、各種の板など建築用材として広く使用されています。 |
米松(ベイマツ)は、別名として「ダフラスファー」「レッドファー」「ピゥゼットサウンドパイン」「ダグラスツリー」「モンタナファー」など様々な呼び名があります。米松(ベイマツ)の古木の良材を「ピーラ」と呼びます。
わが国では米松(ベイマツ) と呼んでいますが、日本の赤松(アカマツ)や黒松(クロマツ)などのマツ属とは同属ではなくトガサワラ属です。
米松(ベイマツ)の木目は直線的で加工に優れていると共に耐久性に優れています。木目が美しく長尺材が採取できることから梁に良く使用されます。機械乾燥して仕上げ加工処理を施すと、割れや曲りが少なくなります。
科目 | マツ科マツ属の針葉樹 |
---|---|
産地 | インドネシアを中心とした東南アジア |
色調 | 心材の色は黄褐色、辺材は淡赤色。年輪幅が一定。 |
性質 | やや軟質ですが適度な硬さを持ち、耐水性も高いです。加工性は良好です。 |
用途 | カウンター天板・棚板などの内装材、造作材、家具材、マッチ材、割り箸など。 |
メルクシパインはインドネシア産の松材で、リサイクルが可能なので環境に優しい木材です。日本産の赤松(アカマツ)によく似ており、カウンター天板・棚板などの内装材として多く使用されます。
科目 | マツ科マツ属の常緑針葉樹 |
---|---|
産地 | ヨ-ロッパ全域、中央アジア、シベリア |
色調 | 辺心材の区分は明らかで辺材は黄白色か淡赤色で、心材は淡赤褐色か赤褐色。 |
性質 | 木理通直で日本のアカマツによく似た木質をしています。乾燥は容易で乾燥後の材の安定性は良好です。 |
用途 | 建築材、土木材、梱包用材、造作材、パルプ材など。 |
レッドパイン(欧州赤松/オウシュウアカマツ)は年輪がはっきりしており、肌目が粗いことから、自然感が表現しやすく人気の木材です。単価も比較的安価です。
レッドウッドとも呼ばれますが、アメリカ産のレッドウッドとは別物です。